第16回 「ハンソロが勝手に投棄した密輸スパイスの損害賠償金」
「スターウォーズ」のハンソロは、ジャバザハットから依頼を受けて密輸品のスパイスを運ぶ仕事をしていました。しかしある時、帝国軍の検問に引っかかってやむなく宇宙に投棄してしまいます。
ハットから損害賠償金の請求を受けて分割払に応じたようですが、支払いが滞って賞金首になった挙句、賞金稼ぎを返り討ちにした上に密輸業を放り出して反乱同盟軍の手伝いを始めてしまいます...
1.ハンソロ側の処理
ハンソロとしては損害賠償金を支払うことになるので、その金額を経費に入れることができます。
分割払いであっても、賠償金が確定した時点で経費にすることができます。
ただし、「故意又は重大な過失がないこと」が条件になります。
今回のケースだと、どちらともいえないです。
ソロがどういう過程で帝国軍に見つかったのかも不明ですし、密輸品の投棄が必要な状況であったのかも不明です。
2.ハット側の処理
ハット側はハンソロから受け取った損害賠償金を収入として計上しなければなりません。
その代わりに投棄された密輸品を売上原価として経費にすることができます。
法人でも個人事業でも処理に違いはありません。(損害「保険」金だと処理が異なります。)
3.消費税
ハンソロもハットも共に消費税の課税事業者だと思われますが、損害賠償金はともに非課税となります。
ハット側は消費税がかからない収入なので嬉しいでしようが、ハンソロ側は消費税の控除にならないため面白くないかもしれません。
とはいえ、ハット側の課税売上割合が下がると、消費税の計算上不利になる可能性もあります。
事業規模から考えれば、課税売上割合95%は維持できる可能性は高いです。
4.密輸品の利益は申告すべきか
第1回コラムでも触れた通り、取引の合法性を問わず獲得した利益に関しては税金がかかります。
ハンソロはレイア姫を送ったお礼として大金を手にします。
当然それに対する税金は支払う必要がありますが、一部はハットに払えたはずです。
損害賠償金を払わなかったハンソロがどうなったのか、それは是非スターウォーズ本編でご確認ください。
◆実際は
損害賠償金の経費性:http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1710.htm
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