第15回 「津崎の推定年収とみくりの税金」
「逃げるは恥だが役に立つ」の森山みくりは、派遣先をクビになって父の部下である津崎平匡の家に家事手伝いとして勤務しますが、紆余曲折あって事実婚することになります。
みくりは津崎から給料をもらいながら家事を手伝い妻を演じることになるのですが...
※執筆時点で、ドラマは4話までと原作は2巻までとが既読です。
1.津崎の推定年収
ドラマの設定では、みくりは194,400円を津崎から給与としてもらうことになっています。他の生活費を負担しながら194,400円を毎月捻出する津崎の年収はいかほどのものでしょうか。
家賃150,000円、光熱費11,000円くらいはドラマで出ていたのでいいとして、他の部分は推定が含まれています。
いろいろエクスキューズは付きますが、試算してみると年収600万円以上ではないかと推察されます。30台半ばのSEとしてはやや高い気もしますが、ありえなくはないでしよう。
貯蓄はいったん無視しています。当然600万円より高ければ、余剰が貯蓄に回るでしょう。
2.みくりの税金等
ドラマの中で「事実婚は社会保険の扶養に入れる。」と言っておりましたが、社会保険の扶養に入るためには年収130万円以下でないとなりません。月額194,400円を給与としてもらうみくりはアウトです。
社会保険の扶養から外れた場合、国民健康保険に加入した上で国民年金を支払わなければなりません。
上の表の通り、194,400円をもらっても、みくりの生活は税金の支払と家賃の折半でかなり圧迫されます。
3.津崎がやるべき手続
津崎は従業員を雇用する立場になるので、様々な手続きが必要になります。
① 給与計算業務
② 源泉所得税の徴収と納付 (税務署)
③ 年末調整と法定調書の作成 (税務署)
津崎は頭よさそうなので頑張ればできるかもしれません。
場合によっては、雇用保険と労働保険の加入も必要かもしれません。
労働保険に加入しないとして、万が一みくりが勤務中(家事中)に事故に遭った場合に津崎はどう補償するのか非常に気になります。
4.配偶者控除+社会保険の扶養に入る
普通に専業主婦として配偶者控除を受け、社会保険の扶養に入る方が家計的には楽になります。
配偶者控除を受ければ津崎の所得税と住民税は安くなるし、みくりの社会保険の負担は生じません。
「戸籍が汚れるのは嫌だから」とか何とか言ってましたが、どうせ結婚するんでしょう!? (ヤケクソ)
5.設定としてどうなのか
月額194,400円はドラマだけの設定で、どうも金額の設定に無理がある気がします。
原作マンガの方では金額についてはボカシてあるので、違和感がありません。
「年収130万円以下でお小遣いあげてるんだなー」という印象です。
一応ドラマを弁護しておくと、本編中には金額が明らかにならずOPの背景や公式HPで金額が確認できるのみです。
まぁ数字にはそれだけの説得力や衆人の興味を引く力があるということでまとめにしたいと思います。
◆実際は
配偶者控除:https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1191.htm
配偶者特別控除:https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1195.htm
社会保険上の扶養:http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha1/20141204-01.html
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