第5回 「甘ブリを苦しめる容赦ない地方税」
現在経営再建中の甘城ブリリアントパーク(以下甘ブリ)ですが、赤字とは関係なくかかってくる恐ろしい税金があります。
地方自治体がかける税金で、「固定資産税・償却資産税」というものがあります。この税金は個人や会社が所有する資産にかけられるものなので、たとえド赤字でも容赦なくかけられてきます。
1.固定資産税
土地と建物にかけられる税金です。甘ブリは郊外にあるので土地の単価は低そうですが、面積が広いためにある程度高額な固定資産税を払っている可能性があります。建物は古いものが多く、お城以外に大規模な建物はなさそうなので、ほとんどが土地の分だと思われます。
2.償却資産税
償却資産税は固定資産税の仲間みたいなものです。土地と建物は法務局で登記するので役所が自動的に把握できて税金を計算して納付書を送ってきます。それに対し償却資産は登記しないため、自分でどういった資産を所有していて当初いくらで購入したかというのを申告しなければなりません。
対象となる資産は、ジェットコースター・観覧車・地下の排水設備・プール・海賊船・お城の侵入者撃退装置などの設備や機械となります。償却資産税の恐ろしいところは、資産が存在する限りは当初の取得価額の5%程度の金額に対して税金がかかることです。たとえどんなにボロボロの設備でも、もともと買った金額が1億円のものであれば500万円が課税対象となり、7万円の償却資産税が毎年発生します。
甘ブリの場合は大規模な設備が多いため、償却資産税の負担は相当なものになると思われます。
3.納期
固定資産税・償却資産税の納期は、地方自治体にもよりますが概ね4月・7月・12月・翌年2月の4回です。
少々支払いが遅れるだけなら利息をつけて許してもらえますが、あまりに未納が続くと差し押さえられて競売にかけられます。甘ブリは5期連続赤字らしいのですが、納付は大丈夫なのでしょうか。7月の目標入場者数を達成する前に、土地・建物が差し押さえられてヤフオクで競売にかけられているかもしれません。
Yahoo!官公庁オークション:http://koubai.auctions.yahoo.co.jp/
◆実際は
借りている建物に自分でつけた内部造作・機械装置・アスファルトなどの構築物・大型特殊自動車その他については償却資産税がかかります。
税額は(取得価額-減価償却費相当額)×1.4%です。
毎年1月末までに1月1日時点で所有している資産について自主的に申告を行わなければなりません。
特に近年は地方自治体の税収不足から申告漏れがないか厳しくチェックされる傾向にあります。福岡市の場合は、以前まで各区ごとに調査などを行っていましたが、現在は市役所で一元管理しています。
なお、各市町村(福岡市の場合は各区ごと)に税率をかける前の金額が150万円未満であればかかりません。
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